二度と戦争を起こさない為にはと考えさせられる「二つの祖国」にはモデルとなった2人の人物がいたそうです。アメリカ人として生まれながらも日本の心は忘れず、でもアメリカ人としての忠誠を問われ続けられながら苦悩する日系2世たち。
今回は「二つの祖国」の主人公となったモデル人物を2人ご紹介します。ドラマ放送前に読めば更に深く入って来るでしょう。分かりやすくまとめたので一緒に見て行きましょう。
二つの祖国のモデル2人とは?
テレビ東京開局55周年特別企画 ドラマスペシャル「二つの祖国」が放送されます。この物語の主人公・天羽賢治は、アメリカで生まれアメリカ国籍を持っている日系2世です。
太平洋戦争前、特に日本の地方では貧困に拍車がかかり、若い男性が夢や期待と職を求めてアメリカへと渡りました。しかし彼らに待っていたのは、孤独な生活と、過酷な肉体労働でした。
賢治の父もそんな1人で19歳で渡米し、過酷な労働にも耐え、小さなクリーニング店を経営するまでになります。アメリカで産まれた賢治でしたが、小学校3年から中学卒業までは父の故郷・鹿児島で過ごしました。
その後は東京の大学に進み、卒業後、父母を支える為 再びアメリカに戻り、日本人向けの新聞社へ勤め、記者となりました。その時、太平洋戦争が始まったのです。
日系人は、アメリカ市民として生きてきたはずなのに「敵性外国人」とみなされ、アメリカ軍によってみな強制収容所へと入れられてしまいました。
アメリカにいるドイツ人やイタリア人には何の措置もなかったのに、日本人と言うだけで強制収容所へ入れられ、全ての財産を取られてしまったのです。
日系2世はアメリカか日本か、どちらの国に忠誠を誓うか選択を迫られ、兄弟でありながらも敵対する事になります。
「アメリカ人なのか、日本人なのか…」日本海軍がハワイ・真珠湾に奇襲攻撃をしかけ、 太平洋戦争が始まった事から差別が始まり渦の中で彼らは苦しみ続ける事となるのです…
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そんな「二つの祖国」主人公の天羽賢治は、小栗旬さんが演じます。小栗旬さんと言えばオーラとパワーが凄くて演技力は定評がありますから非常に楽しみであります。
そんな「二つの祖国」にはモデルとなった2人の実在の人物がいると言われています。伊丹明氏と、フランク・カツジ・フクハラ氏(福原克治)です。
ドラマ視聴前にこの2人を少し勉強してみましょう。
伊丹明とは
1911年、鹿児島から移民した両親のもと、カリフォルニアで生まれましたが、2歳から19歳までは日本の叔母の家で暮らします。両親は、薩摩地方伝統の教育方法を学ばせたかったからです。
大学卒業後 アメリカに戻り、日本語新聞の記者になりますが、太平洋戦争が勃発します。アメリカ陸軍情報部に配属され、日本軍の軍事暗号を解読することを任務とされました。
また、盗聴しても分からなかった日本軍の方言を訳したり、皇室典範などの文書翻訳、分析に携わります。伊丹明のように日本で教育を受け米国に戻った二世は「帰米」と呼ばれます。
「#二つの祖国」放送まであと1週間!
◆天羽賢治(#小栗旬)
天羽家長男。日系二世。新聞記者をしているさなかに日米開戦。収容所生活を経て米軍入隊を決意する。アメリカ人であると同時に日本人であることに誇りを持つが、旧友・チャーリー田宮(#ムロツヨシ)と袂を分かつ運命に… pic.twitter.com/1h1c1W1LGI— テレビ東京 宣伝部 (@TVTOKYO_PR) March 16, 2019
戦後、日本に対して連合国は「極東国際軍事裁判」を行います。これはA級戦犯など戦争犯罪人とされた軍人・政治家を一方的に裁いたものでしたね。その翻訳官として伊丹明は来日していました。
2世たちはみな、伊丹明のような対応をされた訳ではありません。米政府は、忠誠心を疑う2世たちに一般兵より苛酷な軍令を与えました。“弾よけ”にされたなんて話もあります。
伊丹明が残した物の中に「自分の母国語は日本語だ」の文章があったそうです。
遺書などは残していないものの、大戦をはさみ、日米という2つの祖国のために苦悩しながらも真正面から立ち向かい、伊丹明は、39歳の若さで自らの生涯を終えました。
ハリー・克治・フクハラ(福原克治)とは
作家・ 山崎豊子氏は「二つの祖国」を書く為に聞き取りをしていた人物のもう1人は、ハリー・フクハラです。兄弟なのに日米両軍に分かれてしまった福原ハリー克治・福原フランク克利の事です。
兄の福原克治は1920年ワシントン州のシアトルで生まれました。両親は広島出身で、アメリカで職業紹介所を経営していましたが、父が亡くなり日本に帰っていました。
日本での生活に馴染めなかった克治は18歳で単身アメリカに帰り、 アルバイトをして学費を捻出し、大学に通いました。その3年目に太平洋戦争が起こります。
「#二つの祖国」放送まであと3日!
山崎豊子原作の大ベストセラー民放初ドラマ化!日米二つの国に引き裂かれた家族が激動の時代を生き抜く愛と奇跡の物語!
◆天羽勇(#新田真剣佑)
天羽家の三男。賢治(#小栗旬)ら家族とアメリカに残り収容所でアメリカ軍への志願を決意し、戦地に赴く。 pic.twitter.com/AFN5d3reZ2— テレビ東京 宣伝部 (@TVTOKYO_PR) March 19, 2019
敵国の日本語が分かる福原克治は、語学兵として、ニューギニアやフィリピン戦線で、日本軍の機密書類の翻訳や日本人捕虜の尋問にあたります。これらの成功により、アメリカ軍の勝利が導かれたとも言えます。
日本の無条件降伏により終戦し、福原克治は家族の安否を確認する為、広島を訪れます。母と長兄は被爆し、長兄は寝たきりの状態でした。福原克治は病院を工面するも長兄は半年後に亡くなります。
アメリカ軍として戦った福原克治。5歳年下の弟・福原克利は日本軍として戦いました。アメリカ軍が落とした原子爆弾によって長兄は亡くなりました…
福原克治は、その後48年間日本で暮らしましたが、晩年はカリフォルニアに住み、日米両国における各界の著名人との親交を続け平和の架け橋となって生き、2015年95歳で亡くなりました。
まとめ
山崎豊子氏は『二つの祖国』の他『白い巨塔』『不毛地帯』『大地の子』『沈まぬ太陽』など 著作はすべてベストセラーとなっている偉大な作家さんです。
『二つの祖国』では実話をもとにしたエピソードは胸が痛むばかりです。是非戦争を知らない若い世代の人達もドラマ視聴すると良いですね。
アメリカの日系人に対する非人道的な差別政策とそのなかで運命に翻弄されながら、立派な米軍人として成長していく主人公・天羽賢治の姿には心から応援したくなるでしょう。
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